諸行無常

他の業種のインターンと違って建築のインターンは、どちらかというと経験や知識、学びを得るために行くことが多い。少なくとも私は日本でそのような事務所の選び方をしてきたつもりである。だからこそ、蓋を開けてみれば完全に無賃金労働者の確保の為に働かされる、搾取されることもある。ただ事務所側としても難しく、2週間やそこらの期間で質もわからない学生に任せる仕事は限られてくる訳である。しかし、それは雇う側の問題で雇ったからには最低限得られるものを担保しなけらばならないと思う。

建築事務所の修業だの経験を得るためだのの綺麗事は、政府が保育士や看護師を増やすためにやりがいをアピールするようなもので、当事者達から総スカンを喰らう。

 

 


現在の事務所では、模型制作や3D作成が主でプロジェクトに大きく関わるわけではない。海外からのインターンなんぞそんなものかも知れないが、こちとら時間や大金を賭けて海を越えてきたからには手ぶらで帰るわけにはいかない。

雑務が嫌な訳ではなく、様々なプロジェクトの便利屋になってしまっている。上から指示が来てその指示通りにつくり、提出。ミーティングには出られず解像度の低いミーティングの情報で変更点だけを伝えられる。決定に至るまでの過程が可視化されない。それがいくつかのプロジェクトで起こると自分の作業が単発で終わり、続いている感覚がなくなってくる。それに加えてみんなめちゃくちゃ良い人なので、自分が模型を造るたびに"super","cool"で終わる。

竹中のバイトか?これでは、自分が4年間で培ったものをスイス人に披露しているだけである。

留学と違って、確定で学びを得られる訳ではないインターンでどのような経験を積み、どのような技術を身につけ、学ぶことができるかは自分次第かも知れない。その都度に動いて、我儘を通す必要があると感じる今日。もうお客さんじゃないんだからって客が言うことある?