なんとなく良いを語る#03

3回目の引越しを終え、新しいフラットメイトとの生活が始まった。私以外の全員がETHの学生で2人が建築学修士で1人が経済学の修士という超エリートフラットに越してきた。部屋には大きな窓があって大体7畳くらい。キッチンとバスルームは共用でリビングルームがある。f:id:shotaronigiri:20230206171242j:imageこれで月に550CHFはかなり安い。今回は約半年の滞在で、かなり多くの時間をこの家で過ごすことになる。部屋を見つけることと引越しは大変だけれど、様々な家に滞在できたことはいい経験だったと思う。嫌でも地域によっての人種や生活環境の違いを感じるし、もちろん日本との違いも感じる。その土地に住むことや、集まって住むこと、バルコニーやキッチン、階段室の在り方、生活するということとそのための建築を考えるきっかけを生活が与えてくれる。今回はそんな集合住宅のなんとなく良いを語る。

 

Wohnsiedlung Letzigraben Zurich_Ballmos Partner Architekten

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辺りを散歩している時に偶然見つけた集合住宅。外観がSergison Batesぽいなと思って近づいたら、違うかったものの良かった。3棟の不思議な形状のボリュームの隙間は、隣接した公園と道路を接続というよりむしろ、公園を拡張しているように感じた。人の視界に入る一階部分や建物の足元の設計が良かった。まず建物の一階部分は2階以降の壁面から1mほどセットバックされ、その上物を支える柱は断面がかなり大きく2階スラブに食い込むようなディテールが施されている。加えて上物の壁面から数センチ程度出っ張ったディテールもこの大きい柱が建物が大地に力強く建っている印象を与えるとともにセットバックされた壁面との間に緩やかに境界を生み出している。f:id:shotaronigiri:20230206171458j:imagef:id:shotaronigiri:20230206171404j:imageこの柱の面で芝生に切り替わっており、建物から床→芝→アスファルト(小道)に変化することによって床部分は住人の所有域であることを感じ、芝によって歩行者と見た目以上に距離を取ることができている。建物の間を縫うように計画された小道は、石のタイルによって縁が造られ、ベンチや玄関前はその石のタイルが広がりを持ち、ただの縁が溜まりへと姿を変えていた。f:id:shotaronigiri:20230206171436j:image些細なペーブメントの切り替わりや、有機的な動線に合わせた石の素材の選択、建物と地面の接続が印象的だった。ウェブで見た内部空間も、不思議な外郭を活かしたプランで内に入り込んだバルコニーや各部屋に設置された大きな窓は建物の中心にまで光を届ける。その光は、白い内壁とコンクリートパネルの天井や柱との対比を強調し、複雑な平面特有の奥行きを演出している。色といい素材といい、公園に隣接しているという環境を贅沢に、愚直に受け入れた良い集合住宅だった。

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図面引用元

www.vonballmoospartner.ch

ここのサイトに内部写真や図面が掲載されているので是非見てください。